2010年7月14日水曜日

目に見えないメガネを買う

会社近くのメガネ屋さん。
ここの30代オーナーはバランス感覚に優れています。
将来の展望や価値観を火種にして、僕の脳内で爆発した、やや焦げ臭い話を笑顔で聞いてくれるのです。

そして、オーナーの彼は僕の焦げ臭い話を手中に収めると、
ススをそっと落とし、まるで魔法使いのように、目に見えないメガネを形作って
僕にかけてくれるのです。

するとどうでしょう。
目の前はとてもクリアになり、面白いほどによく見える。

でも彼の用意する魔法のメガネは、やはり魔法だけにまた消えて見えなくなってしまう。
だから僕は仕事中にふらっと立ち寄り、彼の魔法のメガネをかけてもらうのです。



メガネ屋さんは物体としてメガネを売っているだけじゃない。
目に見えないメガネを売る事もお仕事だ。

それはどの仕事にも言える事でしょうね。
もし、あなたがカメラマンなら、あなたが写しているのは目に見えない景色だろう。
もし、あなたが音楽家なら、あなたが届けているのは耳では拾いきれない粒子だろう。
もし、あなたがスタイリストなら、あなたがスタイリングした女性は、もう目の前にいない。
もし、あなたが建築家なら、あなたが建てたのは壁と柱と屋根じゃない。

とてもシンプルな事ね。
さて、僕は?
僕は大きな決意を持って、今後の人生の羅針盤を一度海に投げ入れる必要があるのかもしれない。

言いたい事を最初に戻そう。

会社の近くのメガネ屋さんの話。

すごく素敵なお店でしょ?
え?オーナーが帰った閉店後のシャッターしか見えないって?

そりゃあなた、glass fineで目に見えないメガネを買うしかないね。